
器との付き合い方
台所の食器棚には、二十年近く使っている飯碗があります。三年前に縁を少し欠いてしまい、一度は捨てようかと思いました。けれど、手に持ったときの重さがちょうどよくて、どうしても手放せない。そこで自分で繕ってみたのが、器を直しながら使うようになったきっかけです。
毎日の扱い方で、割れにくくなる
直し方の前に、まず割らないための扱い方を三つ。
- 洗うときは、重ねずに一つずつ。シンクの中で器同士がぶつかるのが、欠けのいちばんの原因です。
- 焼きしめの器は、使う前に水にくぐらせる。料理の色や匂いが染みにくくなります。
- 食器棚では、大きい器を下、小さい器を上に。重ねるのは五枚までにします。
家庭でできる簡単な繕い
本格的な金継ぎは漆を使い、仕上がるまでに数か月かかります。ここで紹介するのは、合成の接着剤と金色の粉を使う簡単な方法で、一週間ほどで仕上がります。道具一式は手芸店などで3,000円前後でそろいます。
- 欠けた部分と破片を、中性洗剤で洗ってよく乾かす(半日)。
- 二液を混ぜる接着剤で破片を貼り、マスキングテープで固定して一晩置く。
- はみ出た接着剤をカッターで削り、細かい紙やすりで平らにする。
- 継ぎ目に専用の下地を細い筆で塗り、乾く前に金色の粉をのせる。
- 三日ほど乾かしてから、余分な粉をやわらかい布で払う。
使うときの注意
合成の材料で直した器は、口に触れる縁や、熱い汁物を入れる内側には向きません。電子レンジと食器洗い機も避けてください。私は直した器を、果物や乾き物、お菓子をのせる器として使っています。口に触れる部分を直したい場合は、漆を使う本格的な方法か、修繕を受けている工房に相談するのが安心です。
継ぎ目の金色の線は、その器が割れて、それでも使われてきたしるしです。新しいものを買うよりずっと手間はかかりますが、直した器を食卓に出すたび、少し誇らしい気持ちになります。