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木の本棚が並ぶ小さな町の本屋の店内

小さな町の本屋を訪ねて

見本県の灯町(あかりまち)は、ローカル線の終点から一つ手前の駅で降りる、人口六千人ほどの町です。駅前の商店街を五分ほど歩くと、古い酒屋を改装した「ひだまり書房」の木の看板が見えてきます。棚は全部で十二本。新刊と古本が混ざって並ぶ、町でただ一軒の本屋です。

店主が選ぶ棚

店主の田村さんは、十年前に都会の大きな書店を辞めてこの町に戻ってきました。「ここではお客さんの顔が全部わかる。だから、棚もその人たちに向けて作るんです」。入口の棚には、その週に町の誰かが話題にしていた本が並びます。取材した日は、近所の農家さんが「冬の畑の本はないか」と聞いたのをきっかけに、土づくりの本と、冬野菜の料理の本、そして畑を舞台にした小説が一緒に置かれていました。

棚ごとに小さな手書きの札があり、「雨の日に読む」「祖父母に贈る」「旅の前に」など、本の分け方が少し変わっています。ジャンルではなく、読む人の気持ちや場面で分けているのです。探していた本が見つからなくても、隣にあった一冊を手に取って帰る人が多いそうです。

町の人が集まる場所

店の奥には六席だけの小さな読書室があり、一杯300円のほうじ茶を頼めば、買う前の本を読むことができます。毎月第二土曜日の午後には、店主が選んだ一冊を読んで話す読書会も開かれていて、参加費は500円(お茶つき)。高校生から八十代まで、毎回十人ほどが集まります。

行き方と過ごし方

  • 交通:見本駅からローカル線で約1時間20分、灯町駅下車、徒歩5分。
  • 営業時間:10時〜18時、火曜日・水曜日は定休。
  • 一緒に回りたい場所:駅前の朝市(土日の7時〜10時)、商店街の和菓子屋。

朝の電車で出かけて、朝市で昼ごはんの材料を買い、昼過ぎに本屋でお茶を飲みながら一冊を選ぶ。帰りの電車でその本を読み始めれば、日帰りでも十分に満ちた一日になります。交通費と本代、お茶代を合わせて、一日5,000円ほどの小さな旅でした。

※灯町とひだまり書房は、この見本のための架空の町と店です。